資本金の額等と資本金等の額の違いとは

会計・税務Q&A

法人税において、「資本金の額等」と「資本金等の額」があります。また、地方税においても「資本金等の額」がありますが、これは法人税の「資本金等の額」とは範囲が異なる場合があります。

これらの金額を誤った際には、法令の適用判定や税額計算の誤りにつながる恐れがあるため、きちんと理解して税務実務にあたる必要があります。

それでは、これらの違いについて以下で解説していきます。

【法人税法の「資本金の額等」とは】
法人税法の「資本金の額等」とは、資本金の額又は出資金の額のことを指します。
なお、法人税法第2条(定義)に「資本金の額等」の定義は直接的には記載がありませんが、「資本金等の額」の定義において、以下の記載があることから、間接的に「資本金の額等」は資本金の額又は出資金の額を意味していることが読み取れます。

法人税法第2条第1項16号
資本金等の額 法人が株主等から出資を受けた金額として政令で定める金額をいう。

法人税法施行令第8条(資本金等の額)
法第二条第十六号(定義)に規定する政令で定める金額は、同号に規定する法人の資本金の額又は出資金の額と、当該事業年度前の各事業年度(以下この項において「過去事業年度」という。)の第一号から第十二号までに掲げる金額の合計額から当該法人の過去事業年度の第十三号から第二十二号までに掲げる金額の合計額を減算した金額に、当該法人の当該事業年度開始の日以後の第一号から第十二号までに掲げる金額を加算し、これから当該法人の同日以後の第十三号から第二十二号までに掲げる金額を減算した金額との合計額とする。

具体的には法人税申告書別表5(1)の以下となります。

【法人税法の資本金等の額とは】
法人税法の資本金等の額は、「資本金の額等」と、株主等から拠出された金額のうち資本金には組み入れられずに留保されている額の合計額のことで、政令で定められた項目を加減算した額となります(法法2十六法令8①)。

政令で定められた加減算項目は、加算項目が12個、減算項目が10個あります。
例えば、増加項目としては、出資を受け入れた場合に資本金ではなく資本準備金とした額(法令8①一)、減算項目としては、資本金の額から資本剰余金の額に振り替えた額(法令8①十二)、準備金又は剰余金から資本金の額に振り替えた額(法令8①十三)などがあります。

具体的には法人税申告書別表5(1)の以下となります。
こちらについては国税庁HP「(参考)法人税申告書別表5(1)上における「資本金等の額」について」もご参考までに確認いただければと思います。

【地方税法の資本金等の額とは】
地方税においては、住民税均等割の判定や事業税資本割の課税標準の計算の際に、資本金等の額を使用します。ただし、このときの「資本金等の額」が法人税法の定義と異なりますので、地方税の資本金等の額についても別途確認する必要があります。なお、主に無償増資・減資をした場合などに法人税法の「資本金等の額」と異なります。

地方税法の資本金等の額は、地方税法第23条(道府県民税に関する用語の意義)・第299条(市町村民税に関する用語の意義)1項4号(2)で以下のように定義されています(一部抜粋)。

四の二 資本金等の額 次に掲げる法人の区分に応じ、それぞれ次に定める額をいう。

 第三百二十一条の八第一項の規定により申告納付する法人(ロ及びハに掲げる法人を除く。) 同項に規定する法人税額の課税標準の算定期間の末日現在における法人税法第二条第十六号に規定する資本金等の額と、当該算定期間の初日前に終了した各事業年度(イ及びロにおいて「過去事業年度」という。)の(1)に掲げる金額の合計額から過去事業年度の(2)及び(3)に掲げる金額の合計額を控除した金額に、当該算定期間中の(1)に掲げる金額を加算し、これから当該算定期間中の(3)に掲げる金額を減算した金額との合計額

(1) 平成二十二年四月一日以後に、会社法第四百四十六条に規定する剰余金(同法第四百四十七条又は第四百四十八条の規定により資本金の額又は資本準備金の額を減少し、剰余金として計上したものを除き、総務省令で定めるものに限る。)を同法第四百五十条の規定により資本金とし、又は同法第四百四十八条第一項第二号の規定により利益準備金の額の全部若しくは一部を資本金とした金額

(2) 平成十三年四月一日から平成十八年四月三十日までの間に、資本又は出資の減少(金銭その他の資産を交付したものを除く。)による資本の欠損の塡補に充てた金額並びに会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律((2)において「会社法整備法」という。)第六十四条の規定による改正前の商法((2)において「旧商法」という。)第二百八十九条第一項及び第二項(これらの規定を会社法整備法第一条の規定による廃止前の有限会社法((2)において「旧有限会社法」という。)第四十六条において準用する場合を含む。)に規定する資本準備金による旧商法第二百八十九条第一項及び第二項第二号(これらの規定を旧有限会社法第四十六条において準用する場合を含む。)に規定する資本の欠損の塡補に充てた金額

(3) 平成十八年五月一日以後に、会社法第四百四十六条に規定する剰余金(同法第四百四十七条又は第四百四十八条の規定により資本金の額又は資本準備金の額を減少し、剰余金として計上したもので総務省令で定めるものに限る。)を同法第四百五十二条の規定により総務省令で定める損失の塡補に充てた金額

なお、東京都であれば、従業員均等割については東京都主税局のHP「Q2均等割の税率表にある「資本金等の額」とは何ですか。」や「均等割の税率区分の基準となる「資本金等の額」チェックポイント」、事業税資本割の課税標準であれば「【資本割】Q1 資本割の課税標準となる「資本金等の額」とは何ですか。」などのQ&Aもありますので、こちらも参考になると思います。

【さらに勉強したい方向けに参考となる記事・書籍を載せておきます】
資本金の額等と資本金等の額の違いについては、EY新日本監査法人HP「資本金等の額と資本金の額の適用関係」や税務通信No3634号「資本金の額等」と「資本金等の額」、「問答式 法人税事例選集」「問1-30法人税と地方税での「資本金等」の定義の相違」でも取り上げられており(手元にあった平成29年10月改定版で確認)、こちらも参考になるかと思います。

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