税法条文の読み方(法令用語編③)「時」「とき」「場合」の違いとは 

法令上、特別な意味を持って使用される用語がいくつかあります。
これらの用語の意味を正確に理解していないと条文を正しく理解・解釈できず、結果法令の適用を誤る恐れがあるため、税法条文読解にあたる事前準備として、まずこれらの法令上の慣用語を覚える必要があります。

この記事では、法令用語である「時」「とき」「場合」の違いについて解説します。

まず、「時」と「とき」の違いですが、「時」は瞬間的な時間や時点を示す際に使うのに対し、「とき」は仮定的な条件を示す際に使用します。

<条文例>法人税法第22条の2第4項
内国法人の各事業年度の資産の販売等に係る収益の額として第一項又は第二項の規定により当該事業年度の所得の金額の計算上益金の額に算入する金額は、別段の定め(前条第四項を除く。)があるものを除き、その販売若しくは譲渡をした資産の引渡しのにおける価額又はその提供をした役務につき通常得べき対価の額に相当する金額とする。

<条文例>法人税法第23条第1項
内国法人が次に掲げる金額(第一号に掲げる金額にあつては、外国法人若しくは公益法人等又は人格のない社団等から受けるもの及び適格現物分配に係るものを除く。以下この条において「配当等の額」という。)を受けるときは、その配当等の額(関連法人株式等に係る配当等の額にあつては当該配当等の額から当該配当等の額に係る利子の額に相当するものとして政令で定めるところにより計算した金額を控除した金額とし、完全子法人株式等、関連法人株式等及び非支配目的株式等のいずれにも該当しない株式等(株式又は出資をいう。以下この条において同じ。)に係る配当等の額にあつては当該配当等の額の百分の五十に相当する金額とし、非支配目的株式等に係る配当等の額にあつては当該配当等の額の百分の二十に相当する金額とする。)は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、益金の額に算入しない。

「とき」と「場合」については、どちらも仮定的条件を示す際に使用します。

条件が1つだけの場合は、「とき」と「場合」のどちらを使うのかということに明確なルールはなく、条文の読みやすさや語感などを考えたうえで、立案担当者が選択しているようです。
(この点、『条文の読み方 第2版』p106でも触れられていました)

一方条件が2つの場合は、大きい条件に「場合」を使用し、小さい条件に「とき」を使用します。

<条文例>法人税法第22条の2第3項
内国法人が資産の販売等を行つた場合(当該資産の販売等に係る収益の額につき一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて第一項に規定する日又は前項に規定する近接する日の属する事業年度の確定した決算において収益として経理した場合を除く。)において、当該資産の販売等に係る同項に規定する近接する日の属する事業年度の確定申告書に当該資産の販売等に係る収益の額の益金算入に関する申告の記載があるときは、その額につき当該事業年度の確定した決算において収益として経理したものとみなして、同項の規定を適用する。

なお、条件が3つ以上の場合は明確なルールありませんが、一番大きな条件に「場合」を使用し、そのあとは「とき」を使用することが多いように思います。

「時」「時」「場合」の違いについては、『そうだったのか!税法条文の読み方』p146、税法の読み方 判例の読み方p151、『条文の読み方 第2版』p106でも解説されていますので、お手元にある方はこちらでもご確認いただくとより深く理解できるかと思います。

税法条文の読み方について学びたい方向けのおすすめ本は「税法条文の読み方・解釈の仕方 おすすめ本」の記事で紹介していますので、こちらもよかったら参考まで。

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