税制改正の流れと税制改正のキャッチアップ方法について

仕事術

税制改正の流れ

税制改正は、政府税制調査会が中長期的視点から税制のあり方を検討する一方、毎年度の具体的な税制改正事項は与党税制調査会が税制改正要望等を審議し、その後取りまとめられる与党税制改正大綱を踏まえて、「税制改正の大綱」が閣議に提出されます。

そして、閣議決定された「税制改正の大綱」に沿って、国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出されます。

 国会では、衆議院と参議院のうち、まず先に改正法案が提出された議院において、財務金融委員会(衆議院)若しくは財政金融委員会(参議院)又は総務委員会での審議を経て、本会議に付されます。可決されると、もう一方の議院に送付され、そこでも同様のプロセスによって可決されると改正法案は成立し、改正法に定められた日から施行されることになります。

(出典:財務省HP「税制改正のプロセスについて教えてください。」

政府税制調査会の議論

政府税制調査会では、中長期的視点から税制のあり方を検討しています。
内閣府HPで会議の議事録が確認できますので、どのような内容が議論されているかを把握しておくとよいでしょう。

8月:各省庁から財務省に税制改正要望が提出

毎年8月末頃までに財務省に各府省庁の税制改正要望が提出され、財務省HP「税制改正の概要」において公表されます。

※令和6年度税制改正でいうと、以下黄色ハイライト箇所です。

※地方税については、総務省HP「税制改正(地方税)」にて公表されています。

11~12月:与党税制調査会の議論

与党税制調査会の議論及び与党税制改正大綱の公表は以下の手順で進められていきます。

・与党税制調査会の総会を開き、税制改正の議論スタート
・部会等重点要望ヒアリング
・主要検討項目
・マルバツ審議:各項目について○×などをつけて振り分け
・マル政項目:後日審議する項目について審議
・マル政等処理案:政治的判断が必要なものをさらに審議
・最終処理案:とりまとめ
・与党税制改正大綱を公表

12月中旬:与党が税制改正大綱を公表

12月中旬頃に与党税制改正大綱が公表されます。
令和6年度税制改正であれば、与党HPのこちらで確認できます。

12月下旬:税制改正大綱の閣議決定・政府による公表

与党税制改正大綱を踏まえて「税制改正の大綱」が閣議に提出され、閣議決定。
政府により「税制改正大綱」が財務省HP「税制改正の概要」にて公表されます。

※令和6年度税制改正でいうと、以下黄色ハイライト箇所です。

※地方税については、総務省HP「税制改正(地方税)」にて公表されています。

2月:財務省・総務省が税制改正法律案を作成、国会に提出

国税の改正法案については財務省が、地方税の改正法案については総務省が作成し、国会に提出されます。

3月:衆議院・参議院で税制改正法案を可決、改正法案の成立・公布

3月下旬までに衆議院・参議院で税制改正法案を可決、改正法案の成立・公布となります。

4月:改正税法が施行

可決された改正法は、例外を除き、基本的に4月1日に施行されます。

7月:財務省「税制改正の解説」公表

7月頃に財務省から「税制改正の解説」が公表されます。

※令和5年度税制改正でいうと、以下黄色ハイライト箇所です。

税制改正をうけて、国税庁の法令解釈通達の改正

夏から秋にかけて、国税庁において通達の改正が行われます。
改正通達については、国税庁HP「法令解釈通達」にて確認できます。

税制改正のキャッチアップ方法について

税制改正により適用される課税関係が変わる場合は、事業計画への影響やタックスプランニングの検討が必要になります。

よって、会社の税務担当者及び税理士・会計事務所等の外部アドバイザーは、税制改正の情報を随時キャッチアップしていく必要があります。

税制改正の情報のキャッチアップのスタート時期としては、遅くとも12月中旬の税制改正大綱の公表時、出来れば8月の各府省庁の税制改正要望が提出された後の9月には始めるのが望ましいと思います。

税制改正の情報のキャッチアップとしては、基本は上記の1次情報(財務省HP、総務省HP、与党HP)となりますが、他にもいくつか参考になる情報源があるので紹介します。

おすすめ情報源

国税庁HP

国税庁HPにおいても、税制改正を受けて情報発信をしています。
例えば、国税庁HP「パンフレット・手引」において、「税制改正関係」や「改正の概要関係」などが公表されています。

関係省庁の税制改正の解説

税制改正は各省庁の税制改正要望を受けて改正されることもあり、関係省庁から税制改正の解説がされていたりします。

例えば、経済産業省では「令和6年度税制改正について」、金融庁では「令和6年度税制改正大綱における金融庁関係の主要項目について」、中小企業庁では「税制」では税制改正に関するリーフレットを公表しています。

税理士法人 山田&パートナーズHP 「税制改正解説」

税理士法人 山田&パートナーズHP「税制改正解説」も参考になります。
恐らく大手税理士法人の中でも、一番詳しく解説されているかと思います。

森・濱田松本法律事務所「TAX LAW NEWSLETTER」

森・濱田松本法律事務所も「TAX LAW NEWSLETTER」にて税制改正解説の記事を公表しています。
単なる改正内容の解説にとどまらず、実務上のポイントといった点も触れられているのでこちらも参考になります。

参考に令和6年度のリンクを載せておきます。
森・濱田松本法律事務所「TAX LAW NEWSLETTER 令和6年度税制改正大綱(1)」
森・濱田松本法律事務所「TAX LAW NEWSLETTER 令和6年度税制改正大綱(2)」

税務専門雑誌

週刊税務通信や税務弘報等の税務専門雑誌も改正情報を把握するための有用な情報源となります。

書籍『改正税法のすべて』

毎年8月頃に発売される、『改正税法のすべて』では改正の趣旨や背景なども解説されています。

※注意:上記は令和5年度税制改正のものとなります。

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