皆さんは自分の市場価値について意識していますか?
日々忙しく、仕事に追われていると中々考えるきっかけもないと思いますが、市場価値を意識せずただ漫然と目の前の仕事をこなすだけになっていると、気がついたら年だけ取ってしまい、他の会社でもやっていける能力が身につかず、会社にしがみつくしかないという、とても怖い状況になる可能性があります。
そんな状況は従業員にとっても、会社にとっても、とても不幸なことです。
健全なのは、従業員はどこでもやっていける能力があるが、それでもこの会社で働きたいと思える会社で働けている状況だと私は考えています。
そのために、従業員は自身の市場価値を常に高める必要がありますし、会社は働きやすい環境を整え、適正な給与を支払うことが大事だと思います。
この記事では、資本市場で生きる個人として、自身の市場価値を把握し、高めることが大事であるという理由についての私の考えを紹介します。
市場価値の高い人材とは?
まず最初に、そもそも市場価値とは何でしょうか?
近年耳にすることが多くなってきましたが(某人材紹介会社の広告の影響や終身雇用が崩壊するなかで会社に頼らない生き方を志向する方が増えた影響でしょうか?)、なんとなく転職活動したときに良い条件を提示されるための「なにか」くらいのイメージの方が多いと思います。
私はこの市場価値の定義について、エッグフォワード株式会社・代表取締役の徳谷氏の提唱する以下の3要素の掛け合わせが一番しっくりきていますので紹介します。
徳谷氏によれば、市場価値=「希少性」×「市場性」×「再現性」から成り立っている。
「希少性」とは、他社との差別化の結果生まれる。つまり代わりが利くかどうかである。
希少性を考えるうえでの「能力マップ」としては、ポテンシャル(基礎学力、地頭、素養)、スタンス(仕事に対する姿勢・考え方)、ポータブルスキル(他の職場に持ち運べるスキルや強み)、テクニカルスキル(専門性が高く、特定環境において発揮されるもの)から成る。
「市場性」とは、業界・業種の規模と特性(労働分配率など現在の給与水準)、成長性(将来はどうか)と、そのなかで自身の持つ「希少性」の高いスキルへのニーズである。
「再現性」とは、違う組織・環境に移った際、同等の価値を発揮できることである。
なお、徳谷氏の市場価値の考えについて深く知りたい方は、徳谷智史の著書『キャリアづくりの教科書』を読んでみてください。546頁ほどある分厚い本ではありますが、自身のキャリアを考えるうえでとても参考になると思います。
つまり、市場価値の高い人材とは、市場からのニーズがある、希少性の高いスキルや経験を、再現性のある形で身につけた人材である。また、より高い給与という面では、業界・業種によって決まる面もあるため、どこで戦う選択をするかという意思決定も重要になる(もちろん仕事はお金のためだけではないため、自身が何を重視するかにもよりますが)。
市場価値を高めるために、どういったことを意識し、何をすればよいのか?
まずは自身が仕事に何を求めるかを自己分析したうえで、どこの市場(業界・業種)で戦うのかを決める必要があります。
そのうえで、その市場(業界・業種)のプレイヤーたる会社にとって、より高いニーズがあるスキル・経験を特定し、それを身に着けるといったステップを踏む必要があります。
なお、どの市場(業界・業種)で戦うかは個人の価値観に強く影響されるため本記事では省略します。
より高いニーズがあるスキル・経験の特定は中々難しいですが、考えられることとしていくつか紹介します。
●高いニーズかあるスキル・経験の特定方法(例)
1.市場内で地位や難易度が高い求人、自身がターゲットとする会社の募集要項(経験やスキル)をチェックする。
2.転職エージェントにヒアリングする。
3.自身が理想とするキャリアを歩んでいる人の経歴をチェックし、どのような職務経験をしてきて、どのようなスキルを身に着けているのか調査する。
次に希少性のあるスキルを身に着ける方法ですが、これは先ほど紹介した能力マップのスタンス(仕事に対する姿勢・考え方)、ポータブルスキル(他の職場に持ち運べるスキルや強み)、テクニカルスキル(専門性が高く、特定環境において発揮されるもの)に分解して考え(ポテンシャルは基本的に所与の条件のため省略)、高めるスキルをきちんと決めたうえで、意識的に取り組む必要があります。
スタンス(仕事に対する姿勢・考え方)については、職場に尊敬する上司・先輩がいればその仕事に対する姿勢・考え方を真似し、また、プロフェッショナリズムを持って、手を抜かず、責任もって自分の仕事をやり抜くということを、日々の仕事を通じて実践していくことで身に着けます。
この辺りはできれば「当たり前」の水準が高い会社で働くと身に着けやすいのかなと個人的には思います(もちろん、個人の意識次第でどの職場でも身に着けることはできると思います)。
ポータブルスキルについては、身に着けるべきスキル(例えば、論理的思考力、問題解決力、時間管理、タスク管理、プロジェクトマネジメント力、ファシリテーション力、マネジメント力、リーダシップ力、簿記・会計・税務の知識、Excel・Word・PowerPointその他ITスキルなど。どういったスキルを身に着けるべきかについては、いわゆるコンサル本なども参考になるかと思います)を決め、意識的に日々の仕事で訓練します(知識を身に着ける系は、資格試験の勉強や読書でも良いと思います)。そして毎日内省(上手くできなかったときは何故できなかったのか言語化し、次回はきちんとできるようにするなど)します。
参考までにですが、私は日記やエクセルで振り返りシートを作ってメモを取ったりするようにしています。
テクニカルスキル(専門性が高く、特定環境において発揮されるもの)は、スキルの特定はできないのですが、基本的に「実務経験」を通じて身につくものだと思います(資格試験の勉強や書籍、ネットでは身に着けられないもの)。
ですので、テクニカルスキルを身に着けるためには、欲しい「実務経験」が積めるように自分から動くしかないと思います。例えば、社内で手を挙げる、上司に相談する、今の職場では欲しい経験が積めないのであれば転職するなど。
自身の市場価値を常に把握しておこう!
市場価値を上げるための行動は前段までで説明しました。
ただ、上記は自身で考えたことの実践のみで、外部からの客観的な目線での評価が入らないため、何らかの方法で定期的に自身の市場価値を客観的な目線で評価(会計的にいうと時価評価を定期的にやるイメージでしょうか笑)した方が良いと思います。
それには例えば転職する気はないけど、試しに転職活動だけしてみるなどもありだと思いますし、もっと簡単なのは転職サイトに登録して、自身に来る求人を定期的にウォッチしてみることだと思います。
私は昔の上司が自身の市場価値を常に知っておくために転職サイトに登録していると聞いて(当時、社会に出たばかりの私にとって転職サイトは転職希望の人が登録するものだと思っていて衝撃でした)、真似して登録し、今でも自身に来る求人を定期的にチェックし、市場価値を把握するようにしています。
既に登録されている方も多いと思いますが、していない方はこの機会に考えてみても良いかもしれません。
この記事が、キャリアに悩む方に少しでも参考になれば幸いです。
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