公認会計士・税理士の守秘義務について考える

仕事術

公認会計士・税理士は法令等で守秘義務が課せられています。
そのこと自体は当然に皆さん理解していると思いますが、最新の注意を払って実践することまで心掛けていますでしょうか?
頭では守秘義務があるとは理解しつつも、飲み会の席やふとした雑談で守秘義務の恐れがある話題を公共の場でしていたりしませんでしょうか?

本記事では、改めて公認会計士・税理士の守秘義務について調べたこと、考えたことをまとめます。

法令等による守秘義務

公認会計士は、公認会計士法第27条及び49条の2と倫理規則第2条第6項、税理士は、税理士法第38条及び54条で守秘義務について定められており、これを遵守する必要があります。

公認会計士法第27条(秘密を守る義務)
公認会計士は、正当な理由がなく、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。公認会計士でなくなつた後であつても、同様とする。

公認会計士法第49条の二(公認会計士の使用人等の秘密を守る義務)
公認会計士、外国公認会計士若しくは監査法人の使用人その他の従業者又はこれらの者であつた者は、正当な理由がなく、第二条第一項又は第二項の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。

倫理規則第2条第6項(守秘義務)
会員は、正当な理由なく、業務上知り得た情報を他の者に漏洩し、又は自己若しくは第三
者の利益のために利用してはならない。
2 会員は、業務上知り得た情報を利用しているのではないかという外観を呈することがないよう
留意しなければならない。
3 会員は、日常の社会生活においても第1項に定める義務(以下「守秘義務」という。)を負い、
特に業務上の関係者又は家族若しくは近親者への意図や違反の自覚がないことによる情報漏洩に
は十分留意しなければならない。
4 会員は、潜在的な依頼人や雇用主から得た情報についても守秘義務を負う。
5 会員は、会員の監督下にある職員等及び会員の求めに応じて助言・支援を行う者に対しても守
秘義務を遵守させる義務を負う。
6 守秘義務は、会員が会計事務所等を退所し、依頼人又は雇用主との関係が終了した後も解除さ
れない。
7 会員は、その所属する組織内部において、適切に情報管理を行わなければならない。会員が所
属する組織を変えた場合や、新規顧客を獲得した場合に、以前の経験を活かすことは否定されな
いが、業務上知り得た情報を利用したり漏洩したりしてはならない。
8 会員の守秘義務が解除される正当な理由があるときは、次のような場合である。
一 守秘義務の解除が法令等によって許容されており、かつ依頼人又は雇用主から了解が得られ
ている場合
二 守秘義務の解除が法令等によって要求されている場合
イ 訴訟手続の過程で文書を作成し、又は証拠を提出するとき。
ロ 法令等に基づく、質問、調査又は検査に応じるとき。
ハ 法令等に基づき、法令違反等事実の申出を行うとき。
三 守秘義務の解除が法令等によって禁止されておらず、かつ、職業上の義務又は権利がある場

イ 訴訟手続において会員の職業上の利益を擁護するとき。
ロ 本会の品質管理レビューに応じるとき。
ハ 会則等の規定により本会からの質問又は調査に応じるとき。
ニ 監査の基準に基づくとき。
ホ 現任会員との交代に際し、依頼人の承諾を得て業務(監査業務を除く。)の引継を行う等、
この規則に基づくとき。
9 会員は、守秘義務が解除され、情報を開示することが必要かを判断するに当たり考慮すべき点
には、次のものが挙げられる。
一 情報を開示するに当たり、依頼人又は雇用主から了解が得られている場合でも、第三者も含
めた利害関係者の利益が不当に損なわれるおそれがないかどうか。
二 開示する情報が、会員の知る限りにおいて、明確であるかどうか。
三 情報を開示する相手が、伝達先として適切かどうか。
四 情報を開示する伝達方法が適切かどうか。
第二号の考慮に当たっては、不確かな事実、不完全な情報又は根拠のない結論を含むような場合には、どのような情報を開示するかについて、職業的専門家として判断しなければならない。

税理士法第38条(秘密を守る義務)
税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする。

税理士法第54条(税理士の使用人等の秘密を守る義務)
税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならない。税理士又は税理士法人の使用人その他の従業者でなくなつた後においても、また同様とする。

法令等違反による罰則

公認会計士又は従業者等が、この守秘義務に違反した場合、債務不履行又は不法行為を構成し、当該守秘義務違反によって被害者に及ぼした損害につき、民法上、債務不履行に基づく損害賠償責任(民法第415条)、不法行為に基づく損害賠償責任(民法第709条)又は使用者責任(第715条)を問われる。
また、会計士法上、公認会計士又は従業者等がこの守秘義務に違反した場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられる(会計士法第52条第1項)
出典:法規委員会研究報告第1号「公認会計士等の法的責任について」

税理士も、公認会計士と同様に守秘義務に違反した場合、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます(税理士法第59条第1項第3項)。

公認会計士・税理士の守秘義務について考える

大前提として、法令等で守秘義務が定められているため、守る必要があります。
なんとなく守秘義務があるだけでなく、きちんと法令等の条文レベルで守秘義務があることを正確に認識し、違反したときの罰則について理解する必要があります。

また、もし自身が会計事務所等を経営する立場にある、あるいは組織人として部下を持っている場合は、自身の監督下にある者に対しても順守を求めましょう。これも法令等で定められています。

そして、ここが一番言いたいことですが、そもそも法令等で守秘義務について定められているからではなく、当然にクライアントの秘密を守りましょうよ

我々はクライアントの最重要情報のひとつである、お金周りの情報について知ることができる立場にあります。任せていただいています。
そのクライアントからの信頼を裏切るような行為は絶対にしてはなりません
それを胆に銘じて、これからもクライアントからの信頼に応えて仕事をしていきましょう。

参考文献

公認会計士法
倫理規則
税理士法
法規委員会研究報告第1号「公認会計士等の法的責任について」



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