会社法計算書類 その他の注記 記載例について解説します!

会計・税務Q&A

会社法計算書類の個別注記表及び連結注記表の注記項目について、会社計算規則第98条では記載すべき注記項目として「その他の注記」といったものがあります。

この記事では、「その他の注記」としてどういった事項を注記すればよいかについて解説していきます。

会社計算規則の定めについて

会社法計算書類の個別注記表及び連結注記表の注記項目ですが、注記表の区分は会社計算規則第98条に定められており、「その他の注記」は第98条第1項19号に定められています。

(注記表の区分)
第九十八条 注記表は、次に掲げる項目に区分して表示しなければならない。
一 継続企業の前提に関する注記
二 重要な会計方針に係る事項(連結注記表にあっては、連結計算書類の作成のための基本となる重要な事項及び連結の範囲又は持分法の適用の範囲の変更)に関する注記
三 会計方針の変更に関する注記
四 表示方法の変更に関する注記
四の二 会計上の見積りに関する注記
五 会計上の見積りの変更に関する注記
六 誤謬の訂正に関する注記
七 貸借対照表等に関する注記
八 損益計算書に関する注記
九 株主資本等変動計算書(連結注記表にあっては、連結株主資本等変動計算書)に関する注記
十 税効果会計に関する注記
十一 リースにより使用する固定資産に関する注記
十二 金融商品に関する注記
十三 賃貸等不動産に関する注記
十四 持分法損益等に関する注記
十五 関連当事者との取引に関する注記
十六 一株当たり情報に関する注記
十七 重要な後発事象に関する注記
十八 連結配当規制適用会社に関する注記
十八の二 収益認識に関する注記
十九 その他の注記

(会社法計算規則第98条

ただ、「その他の注記」として何を記載すべきかについて、会社計算規則第160条では以下の記載のみであり、個別の記載項目の例示はありません。

(その他の注記)
第百十六条 その他の注記は、第百条から前条までに掲げるもののほか、貸借対照表等、損益計算書等及び株主資本等変動計算書等により会社(連結注記表にあっては、企業集団)の財産又は損益の状態を正確に判断するために必要な事項とする。

(会社法計算規則第160条

その他の注記 記載例

では、どういった事項について「その他の注記」に注記すれば良いのか?
この点について、経団連の「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」及び「追加情報の注記について(監査・保証実務委員会実務指針第 77 号 )」が参考となります。

例えば、以下のような会計基準等で注記すべきとされている事項有価証券報
告書提出会社が有価証券報告書で開示する事項
について、重要性を勘案のうえ、記
載の要否を判断する。
① 退職給付に関する注記
② 減損損失に関する注記
③ 企業結合・事業分離に関する注記
④ 資産除去債務に関する注記
⑤ その他追加情報の注記

(出典:経団連ウェブサイト「会社法施行規則及び会社計算規則による株式会社の各種書類のひな型」

また、監査・保証実務委員会指針第77号は、財務諸表等規則などの(追加情報)について記載されていますが、会社法計算書類の「その他の注記」でも同様の例示項目を注記することが考えられます。

監査・保証実務委員会指針第77号の例示項目
1.会計方針の記載に併せて注記すべき追加情報
会計処理の対象となる新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の原則及び手続を採用する場合

2.財務諸表等の特定の科目との関連を明らかにして注記すべき追加情報
(1)資産の使用・運用状況の説明
(2)特殊な勘定科目の説明
(3)会計基準等で注記を求めている事項

3.会計基準等で注記を求めている事項
4.連結固有の事項

利害関係人が企業集団又は会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に関する適正な判断を行うために必要と認められる事項

5.その他
(1)期間比較上説明を要する場合
(2)後発事象に該当しないが説明を要する事項


よって、会社法計算書類の「その他の注記」に記載する注記事項は、経団連ひな形の例示、監査・保証実務委員会指針第77号の例示、連結財務諸表等規則・財務諸表等規則で定められている注記事項などを参考に、個々の会社の状況とその重要性を勘案して注記するかを決定する必要があります。

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