この記事では、申告書作成実務の経験があまりない、あるいは経験があるが過去の申告書の見様見真似で作っているだけで別表間のつながりなど仕組みを理解していない方向けの、法人税・消費税申告書の作り方のおすすめ本を紹介します(申告書の書き方については、私は鈴木先生の書籍で勉強しましたので選書が偏っている点ご容赦ください)。
【法人税申告書 おすすめ本】
①対話式 法人税申告書作成ゼミナール 鈴木基史
簿記3~2級レベルで税務の知識が全くない新入社員に対して、税理士がイチから税務会計の基礎知識の解説と具体的な申告書の書き方を教えていくといった形で、全編会話形式になっているためとても読みやすいです。この一冊をマスターすれば中小企業の申告書程度であれば問題なく対応できるようになるでしょう。まずはじめに読んでいただきたい一冊です。
②法人税申告書 別表4・5ゼミナール 鈴木基史
上記①の続編で、特に別表4・5の役割、記入方法、相互関連、決算書のつながりなどについて丁寧に解説されています。また、還付申告や修正申告の際の別表4・5の書き方についての記載もあります。①が読み終わったらこちらも併せて読みましょう。①②をきちんとマスターすればよほど特殊な例でない限りは申告書の書き方で迷うことはなくなると思います。
③根拠法令から見た法人税申告書 鈴木基史
少し古いので使えない箇所もありますが、今でも変わらない箇所も多く、勉強なります。
この本を読み終わったあとには、著者が言う(本書のはしがきより引用)、
「租税法律主義の下、税務の取扱いはすべて法令の規定がベースとなっており、申告書とて例外ではありません。条文との関係をあまり意識せずに皆、申告書用紙を利用して税務上の各種計算等を行っていますが、実は申告書の各別表は税法の条文どおりに出来上がっており、左上から右下にかけての計算が、税法で要求する計算過程となっています」
「条文解釈以前の話として、適用要件、限度額計算等については、すべて法令に記載されているのですから、それを読まずして税務上の計算等を行ってもあまり意味がなく、また効率的ではありません。条文と関連付けて申告書の各欄を見つめることが重要であり、法令そのものを読み込むことで、法人税法に対する理解の度合いが格段に高まるはずです」
ということの意味が分かるはずだと思います。
また、法人税の個別の税目を勉強する際も、法人税法の専門書の個別税目の解説を読む⇒該当の法令を読む⇒計算例を各種別表に書き込むといったことをすると、より深く法人税法を理解できるかと思います(この勉強法は、鈴木基史『最新 法人税法』のColum33法人税法の勉強の仕方に記載の方法です。おすすめですよ)
④法人の修正申告実務 鈴木基史
こちらも少し古い本ですが、修正申告書の書き方についての本はあまり出版されていないかと思いますので、併せて紹介しておきます。上記①②に比較すると優先順位は低いと思います。
⑤新版 記載例でわかる 法人税申告書 プロの読み方・作り方 菊池康夫
少し古い本ですが、各所別表の作り方や各別表の作り方の後にコラム「CHECK!プロの目」に金融機関や税理士向けにどういった観点でチェックすると良いのか解説されています。
また、申告書作成の本の中でも数少ない、勘定科目内訳書や法人事業概況説明書などの作成方法についても解説されている本であり、実務で重宝します。
【消費税申告書 おすすめ本】
①対話式 消費税申告書作成ゼミナール 鈴木基史
数少ない消費税申告書の書き方についての書籍となります。
消費税申告のシステムを利用している場合は、仕訳の税区分コードが適正に登録されていれば自動的に計算されることも多いかと思いますが、さらに理解を深めるために消費税計算の仕組みと申告書の書き方を勉強したい方にはおすすめの一冊です。
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