課税事業者(適格請求書発行事業者)において、2023年10月1日以降の取引には原則的にはインボイス(適格請求書)の発行が必要となります。
しかし、消費税が不課税又は非課税のみの取引の場合でもインボイスが必要なのか?と悩む場合もあるでしょう。
この点、国税庁HP インボイス制度に関するQ&A 問23(適格請求書発行事業者の適格請求書の交付義務)注2において「免税取引、非課税取引及び不課税取引のみを行った場合については、適格請求書の交付義務は課されません。」とあることから、消費税が不課税又は非課税のみの取引の場合はインボイスの発行は不要となります。
条文でも確認しておきましょう。
インボイスの交付義務については、消費税法第57条の4第1項に定められています。
(読みやすいようにカッコ書き以外は筆者にて太字にしています)
(適格請求書発行事業者の義務)
第五十七条の四 適格請求書発行事業者は、国内において課税資産の譲渡等(第七条第一項、第八条第一項その他の法律又は条約の規定により消費税が免除されるものを除く。以下この条において同じ。)を行つた場合(第四条第五項の規定により資産の譲渡とみなされる場合、第十七条第一項又は第二項本文の規定により資産の譲渡等を行つたものとされる場合その他政令で定める場合を除く。)において、当該課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(第九条第一項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く。以下この条において同じ。)から次に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類(以下第五十七条の六までにおいて「適格請求書」という。)の交付を求められたときは、当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書を当該他の事業者に交付しなければならない。ただし、当該適格請求書発行事業者が行う事業の性質上、適格請求書を交付することが困難な課税資産の譲渡等として政令で定めるものを行う場合は、この限りでない。
また、課税資産の譲渡等の定義は、消費税法第2条第9項で「課税資産の譲渡等 資産の譲渡等のうち、第六条第一項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のものをいう。」とされています。
資産の譲渡等の定義は、消費税法第2条第9項「資産の譲渡等 事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む。)をいう。」とされ、不課税取引は資産の譲渡等に該当しません(消費税法第4条第1項に該当しない課税対象外取引が不課税取引です)。
消費税法第六条一項の規定とは「(非課税)第六条 国内において行われる資産の譲渡等のうち、別表第二に掲げるものには、消費税を課さない。」となります。
よって、不課税又は非課税の取引は、課税資産の譲渡等に該当しないため、インボイスの発行義務はありません。
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